声優オタク

「キャラクターじゃなくて私の声に聴こえてるんじゃないかと不安になる」

「キャラクターじゃなく声優がかわいいという見られ方をするのが嫌」

「キャラクターを背負って人前に出るというのは、その子の何かを変えてしまう気がして、それがどうしても自分の中で受け入れらない」

「私を意識させない演技を目標に、キャラクターに命を吹き込んでいきたい」

"自分がキャラクターの邪魔になりたくない"という価値観を持っている声優は多数派だと思うし、それは正しい価値観だと思う。

 

 

これ

まーーーじでしんどくないですか。

 

声が優れた声優なら、演じたキャラだけでなく声優本人にもファンがつくのは当然で、視聴者(オタク)も声優本人を意識してしまうでしょ。(ついでに容姿も良ければそっちも褒めたくなっちゃうでしょ。)

 

そもそも、アニメーションを「作り手」のことを意識して鑑賞しているオタクは決して少なくないということ。このアニメはどこのスタジオが元請けとか、監督は、脚本は、キャラデザは、総作画監督は、原画に知ってるアニメーターは居るか、OP/EDの歌唱者と作詞作曲は、などを気にして見ることはなにも珍しくない。そして、「作り手」達の中で最もとっつきやすく花形なのが声優と言っていい。視聴者的には、複数のアニメを見ていく上で、声優というアニメの作り手に着目するのは自然なことだと思う。

 

一方で、キャラクターに声を吹き込んでいる役者の多くは、自分ではなくキャラクターを愛して欲しい。キャラクターの声を聴いて自分の顔を思い浮かべて欲しくないと思っている。……いや~、オタクとして非常に苦しい。声優本人を好きなこの気持ち、応援したいこの気持ちはどうしたらいいのかと。声優が自分のファンの存在を拒絶しているわけではないと分かっていても、複雑な心境にならざるを得ない。

 

 

 

話はアニメから変わって、ライブ(アイマス)の話をしたいと思う。アイマスのライブに行くと、声優がキャラクター(アイドル)を演じながら歌い踊ってパフォーマンスをしてくれる。僕はここ数年「デレマス」に傾倒していてライブにまあまあ行っているのだけど、キャラクターを背負ってパフォーマンスする演者は本当にキャラクターそのものに見えることがあって、さながらキャラクターを自分の体に降霊させるイタコのようだと評する人すらいる*1二次元コンテンツのライブには、一種の降霊術祭のような側面がある。

 

ここでよく生じるのが、キャラが好きなのか中の人が好きなのか問題ですね。僕は「どっちも好き」でいいだろって思ってますけど。

 

演者によってはキャラクターを表現するために髪型など容姿をキャラクター仕様にしてくれる人もいて、「どっちも好き」な自分は、キャラクターに対する感情と同時に、キャラクターの“コスプレ”をした中の人に対する感情もやはり抱いてしまう。一応、キャラクターの“コスプレ”をした中の人のことは、礼儀として基本的にキャラクター名で呼称することにはしています。けれど、中の人のことも称賛せずには居られない

 

一方で中の人的には、表現のためにいろいろ試行錯誤してパフォーマンスしているのに、声優本人がかわいいとか、髪型が声優本人に似合っているとか、キャラクターではなく自分の容姿の話をされてしまうと複雑な感情になる人もいる。だから、キャラクターそのものだったと演技を褒めるとか、キャラクターが良かったとキャラクターを褒める方向性で称賛するのが無難なんですよね。

 

 

とはいえ、(ライブに限らず二次元コンテンツ全般的に、)「キャラクターに声優本人の要素が加わるのは望ましくない。」「声優がキャラクターの要素に影響を与えてはいけない。」「声優はキャラクターを凌駕してはいけない。」「声優はイタコでありキャラクターの添え物。」とまで言えるでしょうか?

 

 

あなたたちいつも言ってるじゃないですか。「キャラクターと一緒にライブステージに立った」「キャラクターと一緒に綺麗な景色を見られた」って。そこには役者とキャラクター2人ともいるんじゃないんですか?

嫌な気持ちになる演者が居る以上、エゴサにかかる形では言わないようにしますけど、僕はキャラクターのコスプレをしてパフォーマンスしてる声優本人達のことが演技も容姿も好きです。

 

 

何回かツイッターでも貼っているこの記事、定期的に読み返すぐらい良いインタビューで、津田さんや小日向美穂を知らないアニメオタクにも暇だったら全文読んで欲しいんですが、「自分のいいところをキャラクターに反映させたらキャラクターがもっと上に行けるんじゃないかと思った」なんて言ってるんですよ。強すぎませんか。

津田:そうですね。なんか、手をつないでる感覚というか。一体化しようと思ってたんですけど、“ガールズ・イン・ザ・フロンティア”を歌わせてもらったときに、「一体化ではなくてもいいんじゃないか」と思って。津田美波のいいところをきちんと小日向美穂に反映させてあげることで、小日向美穂はもっと上に行けるんじゃないかなあ、とか思ったりして(笑)。

"自分がキャラクターの邪魔になりたくない"という価値観を持っている声優は多数派だと思うし、これは演技と真剣に向き合った結果の一つの正解だと思う。その上で、津田さんのこの価値観はキャラのライブパフォーマンスもこなす声優として強力すぎる。自分にそれなりに自信があって、かつキャラクターのことを本当に愛していないとたどり着けない境地じゃないですか?

――では、最後に。これまでの時間をともに過ごしてきた小日向美穂にかけたい言葉は何ですか。

津田:なんだろうな……いろいろ言いたいんですけど、「1+1=2になろうね」って言おうかな(笑)。今までは、足して1だったので。これからは、一緒に歩むのと同時に足していけたらいいなって思います。私の個性と小日向美穂ちゃんの個性を、足していけたらいいですね。

僕も一オタクとして、アニメ界や作り手には極力干渉したくないと考えているから、どちらかといえば“自分がキャラクターの邪魔になりたくない”派である。でも、やっぱり好きな声優・好きなキャラクターには、降霊ではなく、それぞれの長所を足し合わせた究極の存在になってくれたら嬉しいなぁ、なんて思うのはオタクのわがままですかね?

 

(ライブの後とかに声優本人の容姿を云々言う感想を控えた方が無難なのはマジ。僕も気を付けます。)

 

 

 

最後にこの記事を貼って終わり*2*3

各々の声優が各々に合った形で活躍して欲しいね。オタク(一人称複数)も各々に合った形でそれぞれを応援していかないとね。 

 

 

 

 

おわり

 

 

*1:キャラクターは霊ではありませんが……

*2:花守さんも、キャラクターがもっと上に行くためにリステ卒業を選択した旨コメントしている

*3:News - 「花守ゆみりに関してのお知らせ」 | m&i